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#04 役員×社員 【挑戦×challenge】

役員 常務取締役管理本部長
桐生 正
Tadashi Kiryu
社員 中越営業部総務課 
大崎 みどり
Midori Osaki
2020年に会社の公式オリジナルキャラクターとなったヨネオの創作者である社員と、経営者のひとりであり会社の風土改革や人事評価制度を見つめる常務取締役管理本部長の対談です。
社員と役員の役割の違いや、新たな意見が案件化されていく流れ、また日々の業務における創造や挑戦について話し合ってもらいました。
(本記事は、2021年2月実施の対談に基づき作成したものです)
―はじめに、大崎さんから出身や担当業務など簡単な自己紹介をお願いします。
長岡商業高校出身ですので、実は桐生常務の後輩にあたります。その後、新潟の専門学校を卒業しケンベイに入社、現在勤続14年目となります。入社後は、総務部に配属となり4年過ごしたのち、米穀部に異動となり営業事務を経験しました。その後、再度総務部の仕事に就き現在に至ります。

―管理系と営業事務を経験されていますが、振り返ってどのように感じていますか?
入社当初は、自分は総務に向いていないと思っていました。落ち着いた雰囲気でしっかり者の同期入社の女性社員がいて、彼女が米穀部の営業事務に配属されたのですが、性格的には逆じゃないかと一緒に笑っていました。5年目に営業部に異動になった時は、お取引先様と会話する機会があったり、売上目標に向かってチームで営業活動をすることについて、自分の性格にも合っていると思ったし、面白味や楽しみを見つけて仕事をしていました。ところが不思議なことに、その後もう一度総務部に配属された時には、総務の仕事のほうが向いていると感じたことを覚えています。同じ事業所で過ごしている上司や先輩、後輩の皆さんを支えているという実感が、自分のなかでやりがいに繋がっていることを認識したという感じです。

―続いて、桐生常務の入社歴や担当遍歴などを教えてください。
私は1984年に当時の中越支店に入社しました。新潟ケンベイについては、母校である長岡商業高校の進路指導室にあった新潟ケンベイの会社パンフレットをみて興味を持ち応募しました。当時はリクルート採用も支店制となっており、営業職や事務職、現業職といった職種ごとの募集ではなく、支店としての募集となっていたため、どのような業務に就くのかは不明なままの着任でした。当時、入社後数年間は現場見習いとして実務を学ぶ仕組みになっており、私は中越精米工場勤務を命ぜられました。2年目はトラックの助手や石油タンクローリーの運転手となり、現場の仕事に就いて勉強しました。入社4年目に、当時の三条営業所勤務となり、石油製品を扱う営業の仕事に従事し、その後、米穀部、企画室、総務部、経理部を経て現在に至ります。

―様々な部署を経験されていますが、ご自身の適性や希望職種などについてはどう感じていましたか?
自分自身については、人と話すことが好きであり営業向きだと感じていました。机に向かうよりも体を動かす方が好きという部分もあります。しかしながら、異動の辞令や担当変更にあたっては、自身の適性を探ることや得手不得手を考えるよりも、その都度やるべきことに没頭し全力を注ぐというスタンスで取り組んできました。これまで従事してきた業務でも、全く異なる業界や職種に携わりましたが、その度に新しい仕事を学ぶということを繰り返してきた、と振り返って思います。
―役員と社員の役割の違いを教えてください。
『企業は人なり』とは、かつて経営の神様といわれた松下幸之助さんの格言として知られていますが、広義で『人の成長が会社の成長となる』と解しており、その通りだと思います。経営(役員)が方向性を示し、社員一人ひとりが十分に力を発揮できるように環境や仕組みを整える。社員は、与えられた環境で現状に甘んじることなく、常に工夫し課題を解決していく。企業において、役員と社員が一体であることは間違いなく、目的の達成に向けた役割の違いだと考えています。
―今の話について、大崎さんはどう感じますか?
お話を聞いて、環境や仕組みについては、改めて過ごしやすい会社だと素直に思います。ただ、それを誰がどうやって実現してくれているのかということについては、普段あまり考えることがなかったように思います。
経営は、日頃のコミュニケーションのほかに、部署や部門で吸い上げられた意見が議論の場に出てくる会議を設けていたり、あるいは社員が直接会社に意見を伝えられるツールとして自己申告書という仕組みを運用するなど、一人ひとりの意見に触れられるように努めています。簡単なことではありませんが、改善要望などについてはできる限り真摯に向き合い、適切に検討したいと考えています。
―続きまして、大崎さんから見る桐生常務の印象を教えてください。
はい、私はお話ししやすい方だと感じています。経営の方と直接会話する機会は少ないですが、事業所でお会いした際にも気軽に声を掛けてくださったりと、現場の社員を大事にしていただいていることを感じます。
―桐生常務は、大崎さんについてどのような印象をお持ちですか?
一緒に仕事をしたことはありませんが、仕事に対し真摯に取り組み、期待されることに対し向上心のある人だと思います。彼女が入社した当時、中越営業部総務課の仕事として慶弔関係の宛名書きをする機会が増えた際には、自発的にペン習字の勉強に取り組んだと聞いており、そのことからも仕事に対する熱意や向上心が伺えます。
―社員一人ひとりについて、どのような視点で見ているのですか?
これは私の考えであり性格的な部分ですが、社員とコミュニケーションをとりたいという想いは強くあります。一生に一度も出逢わない人がいるなかで、同じ会社に勤めていることに『縁』というものを感じています。かたちのないものですが、社員の方とのそういうご縁を大切にしたいと考えています。
―公式キャラクター『ヨネオ』が誕生したきっかけやエピソードを教えてください。
はじめは公式キャラクターを作ろうということではなく、日頃からよくコミュニケーションをとっている営業の方から、POP用のキャラクターデザインを依頼されたことがきっかけです。新規のお取引様へのアプローチとしてPOPを配布したいので作画をしてもらえないかというお話があり、その場でヨネオの原案となる絵と、『美味しいお知らせ炊けました』というキャッチコピーを創りました。
―その場で⁉
はい、その場で会社封筒に試し描きをしたのが、ほぼそのまま今のヨネオになっています(笑)ですので、いいのかな?という部分もありますが、その分、想い入れもあってこれからどう展開されるかわくわくしています。
―オリジナルキャラクターというのがケンベイにとっては初の試みでもあり、楽しみなところですね。
―ヨネオ案件もそうですが、会社が社員の意見を吸い上げて決裁していく流れを教えてください。
会社が社内にある意見を集約する手法としては、提案制度や目安箱などが一般的です。現在、当社ではそういった分かりやすい制度を設けていませんが、一般業務に資する議案であれば部署(課)から部門(部)へ、そこから経営へという流れで議論されていきます。また新規案件や専門的な議案を検討する際には、プロジェクトチームを組織して取り組んでいます。これ以外にも、より現場の声を反映しやすい新たな仕組みが必要だと考えています。
私は現状について、営業系の議論が主体で、どうしても事務系の議論は後回しになっているように感じる部分があります。そもそもどういった議論が進んでいるかということ自体も、理解できていない部分が多いように思います。
根本が営業の会社であり、どうしても相手様があることが優先されるという要素はあるかもしれません。しかし、それは営業主体という意味合いではなく、事務系の業務も含めて、従来のやり方をより効率的なものに変えていくというような議論においては、営業も事務も一緒に考えていくものだと思います。例えば伝票発行一枚にしても無駄を省くことを考えていくべきであり、環境や仕組みが不足しているようであれば早急に対策を考える必要があります。それは営業職だけやることではなく、事務職も現業職も全員が当事者意識をもって取り組むべきであると考えています。
―『ヨネオ』の件について、経営者のひとりとして率直なご感想をお聞かせください。
公式オリジナルキャラクター『ヨネオ』が誕生するまでには次のようなヒストリーがあります。当社の基幹部門である米穀部において、将来構想を検討するべく『米穀事業対策プロジェクト』を設置致しました。メンバーは米穀部の営業職から選抜した様々な役職年齢の方々です。そのメンバーの一人が、業界に精通した営業職メンバーだけでは意見が偏ってしまい斬新な発想が出にくいとの考えから、職種の異なる数名に社内意見の聞き取りをする仕組みを作りました。そこから『新商品』や『オリジナルキャラクター』の意見が企画としてまとめられて上申され、経営は今までなかった『オリジナルキャラクター』に可能性を感じて登録に至った経緯となります。
私は、まずプロジェクトメンバーひとりの取り組みに、ファーストペンギンのような行動力を感じました。また、聴き取りメンバーでキャラクター創作者のひとりである大崎さんについても、自分ができることで会社に貢献したいという彼女の想いが伝わってきました。上申された企画書の全てを具現化することは困難かもしれないが、何かを形にしたいと直感的に思ったのは事実です。
ペンギンが隊列を組んで行動する姿をテレビなどで観たことがあると思います。群れを統率するリーダーはおらず、最初に行動した1羽に集団が従う習性があるとのことです。餌を取るために海に入る時も同じで、互いに牽制しあうような姿を見せ、勝手には飛び込みません。最初の1羽は、非常に勇気ある行動をしたように見えます。自ら幅広く意見を求める行動をしたプロジェクトメンバーのひとり、またヨネオ創作者たちの当社に無かったものを求める姿勢や個人の利益でなく会社の為になりたいという想いがファーストペンギンと重なり動かされました。
―社員の勇気に応えたいという想いが強くあったということですね。
―大崎さんは、自分が創作したものが公式に認定された時、どのように感じましたか?
まさか本当に、公式キャラクターに⁉という驚きがありましたが、素直にとても嬉しかったです。ただ、これからこの案件がどのように成長していくのかはまだ具体的なイメージが湧いていないので、これからも自分にできることを探したいと漠然と考えている段階です。
―創作者としては、そもそも公式キャラクターを目指していたのですか?
いえ、振り返ってみると、自分のモチベーションはどちらかというと社外ではなく社内に向いていたように感じます。名刺に掲載することで営業の方が商談をする際に話題にひとつになるとか、社内のポスターの端っこに載っていてちょっとほっこりするとか。公式キャラクターにこだわるというよりも、社員の皆さんの役に立ちたいという想いが強かったですね。ケンベイ社員の皆さんに愛してもらえるようなキャラクターにしたいとずっと考えてきました。
―桐生常務は、今回のように社員から自由な提案が届くことについてどのように感じますか?
今後も提案や意見にはできるだけ耳を傾けたいですし、歓迎します。社員の皆さんには、担当する業務だけを作業として繰り返すのではなく、自ら発想して様々な声を上げてもらいたいと思っています。
―それに対する経営者としての期待や危惧などはどういったものですか?
良い面と悪い面があるでしょうが、何でも言い合える環境や雰囲気であることは大切であり、世代や肩書にとらわれずに英知を集める仕組みが必要だと思います。一方で私個人としては、利己的な提案や意見に対しては直感的に拒絶してしまうところがあります。会社は様々な人間性が集合して形成されており、仕事の目標や目的を共有することで結びついていますので、自分さえよければというような考え方や集団の目標に沿わない意見については、自己中心的な不満のように聞こえてしまいます。そういった意見が組織や集団の理解を得ることは困難だと感じますね。
―ではお二人に、これから『ヨネオ』をどのように成長させたいかを聞かせていただきます。
ヨネオは生まれたてです。これから、経営は勿論のこと、社員からもアイデアを募り一緒に育てていかなければなりません。愛すべきキャラクターとして、大人しく控えめであるよりも『やんちゃ』に育ってほしいです。
役員の方に『一緒に育てる』と言っていただけることに感激です。私は、ヨネオが大活躍するというよりも『気になる存在』になってほしいと思っています。私自身も新潟ケンベイという会社について少しお堅いイメージを持っている部分がありますが、名刺の端っこやカタログにヨネオが載っていることで、そういう堅実さとは違ったケンベイの新しい一面を感じてもらえればと思います。
―お二人のような気持ちでヨネオを成長させていく、それ自体が会社の成長に繋がっていくと期待しています。

―それでは続きまして、対談テーマでもある『challenge』を踏まえて質問します。
―桐生常務が考える、経済や業界慣習などの変化に対する当社の課題はどういう部分でしょうか?
コロナ禍により、経済や業界は勿論のこと、会社業務や生活環境など全てが様変わりしました。先ずは足元の喫緊な課題に速やかに対応していく事が重要です。また、企業は環境適応業と言われるように、平時においても常に改革・変革しなければなりません。それは会社のビジョンを明確にし、現状を打破し創造なくしては達成不可能であると思っております。業界の常識や習慣にも常に疑念を持ち、変わる勇気を持って行動することが大切です。
―現在ケンベイが直面している環境は、どういった状況だとお考えですか?
先人が築き上げてきた当社の基盤に胡坐を掛ける状況ではありません。貪欲に新たな収益を求めて挑戦し、新しい基盤構築を早急に成し遂げる時期だと考えています。
―大崎さんが挑戦していることを教えてください。
具体的なやり方はまだ分かりませんが、後輩たちの意見をもっと広く深く聴きたいと考えています。これは自分の実体験からですが、親しい先輩がいると会社に来るのが楽しくなるんですよね。私も大好きな先輩が大勢いて、日々助けてもらったり、いろんなエネルギーを分けてもらっているので、後輩たちにとって自分もそういう存在になることに挑戦し続けます!
―お二人にとって、『創造する』というのはどういうことですか?
身近な事では、従事する業務をブラッシュアップし続ける事だと思います。現状認識と課題解決の繰り返しを意識して取り組むことが必要であり、その延長線上に新たな発想や仕組などの創造があるのだと思います。私は、場当たり的や唐突的なものでなく、危機感を持ち意識して取り組んだ提案や意見には、情熱と可能性を感じます。
自分が従事している仕事について、『やらされている』と思ったら何も生まれないと考えています。困難であったり苦しかったとしても、そこにやりがいや楽しみを見つけられれば、自然とやる気が湧いてくるものだと思います。そういうモチベーションをもって取り組むことによって、日々の業務についても新しい課題や発見があるんだろうなと思います。
大崎さんの言う『楽しんで働く』ということが、若手社員たちにとって成長を伴うことであると信じていますので、一生懸命に楽しんでいただきたいと思います(笑)
―それでは最後に、社員にこうなってほしい、会社にこうあってほしいという期待を教えてください。
社員の皆様には、好き嫌いや得手不得手に関わらず、やるべき業務に真摯に対峙し、貪欲に知識や経験を積み上げてほしいと思います。失敗することもあるでしょうが、それ自体がその人の財産になると考えています。眼前の壁に対峙できなければ、その先の壁には触ることも事もできません。努力を惜しまず、人間力のある逞しい社員を目指して頂きたいです。
はい、努力致します!私は、会社にはこれからも若手を大事に育ててほしい、新しい発想の種を見つけてほしいと思います。面白いことを考えている社員は大勢いると感じていますので、ヨネオの案件ように、それを見つけて育てる環境をもっと広げていただくことを期待しています。
―ありがとうございました。ヨネオの成長が楽しみであるとともに、創造に向けて変化し続ける、当社の新たな挑戦にも期待致します。
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